工業塗装において、金属下地の腐食をどれだけ抑えられるかは非常に重要です。特に屋外環境や湿度・腐食因子の多い環境で使用される製品では、防食性能が製品寿命を大きく左右します。その耐食性を短期間で厳しく評価できる方法が「CASS試験(キャス試験)」です。
ここでは、CASS試験の基本的な考え方、目的、具体的な試験方法について分かりやすく解説します。
CASS試験(Copper-Accelerated Acetic Acid Salt Spray Test)は、通常の塩水噴霧試験(SST)よりもさらに過酷な条件で行う耐食性評価で、銅イオンと酢酸を含む塩水溶液を噴霧することで腐食促進作用を大幅に高めた試験です。
一般的な塩水噴霧試験が中性環境での腐食傾向を見るのに対し、CASS試験は「より厳しい腐食環境」を人工的に作り出すのが特徴です。特に、アルミニウムの陽極酸化皮膜や、メッキ製品の厚膜防食性能評価などで広く利用されています。
CASS試験の目的は、製品が過酷な腐食環境にさらされた場合でも、どれだけ耐えられるかを事前に確認することです。通常の塗装やメッキは時間の経過とともに劣化しますが、CASS試験はその劣化を強制的に短時間で進めることで、耐食性の差を比較しやすくします。
金属下地に腐食がどれだけ早く進むかを確認できます。表面の膨れや白錆・赤錆の発生の有無などを重点的に評価します。
陽極酸化皮膜(アルマイト)やメッキ層の破壊・変質の起こりやすさを測定することで、製品寿命の予測に役立ちます。
異なる前処理・塗膜構成・膜厚条件の差が、耐食性にどのように影響するかを定量的に比較できます。
これらの評価によって、製品がどの環境まで耐えられるのかを客観的に把握でき、適切な材料選定や表面処理仕様の決定に大きく貢献します。

CASS試験は、CASS専用の腐食促進溶液を試験槽内で噴霧し、一定時間暴露後に腐食状態を評価する方法です。ここでは代表的な流れを紹介します。
塩化ナトリウム、酢酸、塩基性酢酸銅などを混合し、pHを約3.1〜3.3に調整します。この酸性環境に銅イオンが加わることで、通常の塩水噴霧より強力な腐食促進効果が生まれます。
試験片を試験槽内に一定角度で設置し、塩分が付着しやすい状態を再現します。試験温度は約50℃に維持されます。
試験中は、CASS溶液が連続的に噴霧され、試験片表面に腐食促進液が付着し続けます。暴露時間は製品仕様や規格によって異なり、一般的には2〜24時間など短時間の評価から行われます。
暴露後、塗膜の状態を観察・測定します。
通常の塩水噴霧で現れない劣化が短時間で顕在化するため、より厳しい評価が必要な製品に適しています。
CASS試験は、腐食要因を強化した環境で塗装や処理皮膜の耐食性を短期間で評価できる非常に有効な試験です。屋外使用製品や高耐久性が求められる部品では、CASS試験の評価結果が品質保証の重要な指標となります。
特に、アルミの陽極酸化処理製品や、高耐食性が求められる工業部品の開発・選定では、CASS試験によって得られるデータが大きな価値を持ちます。塗装会社に依頼する際は、CASS試験に対応しているか、評価基準が明確に定められているかを確認しておくと安心です。
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