製品の価値を長期間にわたって維持するために施される、メッキや塗装。しかし、使用しているうちに皮膜がパリパリと剥がれてきたり、プクッと膨れてきたりといった不具合に、頭を悩ませた経験はないでしょうか。
皮膜の剥がれは、単に見た目が悪くなるだけでなく、製品を保護するという本来の機能が失われている危険なサインです。この記事では、メッキや塗装が剥がれてしまう主な原因と、それを防ぐための対策について、それぞれのケースに分けて分かりやすく解説します。
メッキであれ塗装であれ、剥がれが起こる原因として、最も多く、そして最も重要なのが「下地処理の不備」です。製品の表面に、目に見えないレベルの油分、水分、錆、汚れ、酸化膜などが残っていると、それが障壁となって皮膜が素材にしっかりと密着できません。
どんなに優れたメッキ技術や塗料を用いても、この素材表面を完全にクリーンにする工程を疎かにすると、皮膜の密着力は著しく低下し、ごく短期間で剥がれや膨れといった不具合を引き起こしてしまいます。高品質な表面処理は、高品質な下地処理の上にしか成り立ちません。
下地処理の不備という共通原因の他に、メッキと塗装、それぞれに特有の剥がれの原因が存在します。
メッキの剥がれは、多くの場合、メッキ層と母材との間で発生します。硬い金属皮膜がパリッと剥がれるのが特徴です。
主な原因:
前述の下地処理不足に加え、メッキ皮膜の内部応力(内部に残る力)の高さが挙げられます。特にニッケルメッキやクロムメッキは、皮膜が硬い反面、内部応力が高くなる傾向があり、この力が密着力を上回ると剥離の原因となります。また、多層メッキの場合、層間の相性や処理の不備が剥がれを引き起こすこともあります。
対策:
信頼できる業者に依頼し、素材に合った適切な下地処理と、応力の低いメッキ浴の管理を徹底してもらうことが基本です。また、銅メッキを下地に使うなど、密着性を高めるための層構成を工夫することも有効な対策となります。
塗装の剥がれは、塗膜がベリベリとめくれたり、細かくひび割れて剥落したりと、様々な形で現れます。
主な原因:
下地処理不足の他に、紫外線や風雨による経年劣化が大きな原因です。塗膜を構成する樹脂が、長年の紫外線によって分解され、柔軟性を失ってひび割れることで、そこから水分が侵入し、剥がれが進行します。また、塗料の乾燥時間不足や、下塗り(プライマー)の選定ミスといった施工不良も、密着不良による剥がれに直結します。
対策:
屋外で使用する製品には、耐候性の高い塗料(フッ素樹脂塗料など)を選定することが重要です。また、塗装仕様書に定められた膜厚や乾燥時間を遵守し、基本に忠実な塗装を行うことが、剥がれにくい強靭な塗膜を作るための鍵となります。
「メッキパーツを塗装したら、すぐに剥がれてしまった」というケースは非常に多く見られます。これは特殊なケースで、明確な理由があります。
主な原因:
最大の原因は、クロムメッキなどの装飾メッキ表面が、鏡のように滑らかで緻密すぎるため、塗料が食いつくための「足がかり」がないことです。通常の素材表面にある微細な凹凸が存在しないため、塗料はただ上に乗っているだけの状態になり、わずかな衝撃や経年で剥がれてしまいます。
対策:
メッキの上に塗装する場合は、「足付け」「プライマー塗布」という特別な下準備が不可欠です。目の細かい耐水ペーパーなどで表面を軽く研磨して微細な傷をつけ(足付け)、その上にメッキのような非鉄金属と塗料の密着性を高める専用のプライマー(ミッチャクロンなど)を塗布することで、初めて強固な塗膜が得られます。
メッキや塗装の剥がれは、様々な要因が複雑に絡み合って発生しますが、その根源をたどると、多くの場合で素材と皮膜が「いかに強く結びついているか(密着性)」という点に行き着きます。
この密着性を最大限に高めるための、素材に合わせた適切な下地処理と、各工程の丁寧な管理こそが、剥がれない表面処理を実現するための最も重要な要素なのです。
製品に関する専門知識や技術が不足すると、色ムラや塗装剥がれが発生し、品質低下やコスト増、納期遅れを招きます。
そういった事態を避けるために、製品に適した塗装技術と設備を持つ会社選びが重要です。

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